2022-10-3
- 一年ぶりのテント泊登山
こんなに重い荷物を背負うのはいつぶりだろうか?
昨年は天候に恵まれず、最後にテント泊をしたのは7月の南アルプス 北岳、一回コッキリな気がする。
今年に入ってからは、散々ブログで書いていた長距離ウォーキングやロングハイクを課題に動いていたので『重登山』からは離れていたのだ。
しかし、この半年間。『重登山』を離れ、軽量シューズ、軽量ザック、膝上丈のパンツ、カメラもスマホだけの軽量登山やハイキングをはじめて味わってしまい、今までの重さはなんだったの?というくらいダメージが違うことに気がついてしまったのだ。
はじめは日帰り登山からスタートして、あれもこれもで荷物が増え、テント泊をはじめて、またまたあれもこれもで荷物が増え、カメラをはじめてレンズも入れたりなんかしたら65Lのザックに入らなくなって、80Lのザックに買い換えるまでになってしまった。
キャリアは重ねてるのに、どんどんコースタイムよりも遅くなっている自分に歯痒さを感じながらも、「まぁ荷物重いしな」なんて思いながらやってきた。
しかし、しかし。そろそろ軽量化しないとやばいんじゃないかと。下りでの足への負担や、全身にかかるザックの重みが何倍にもなって上半身にのっかかる。
テント泊ツラい…
はじめる前から先が思いやられる切り口でスタートさせていただきます。
久しぶりに『テントを背負って山に行きましたよ。』
そんなお話です。薄暗い森の中も、光が入ると突然と色気付く
広がる青空と、連なる白峰三山(北岳・間ノ岳・農鳥岳)の雄大さに、「おぉ〜」とひとり声を漏らす。
しかしそれは、この日最初で最後の晴れ間だった完全な樹林帯のため何といった景色はないが、太陽を包む霞が抜けた突然で一瞬の時間、様々な光のライティングが撮れる時がある
ここは完全森の中なので写真を撮るのも忘れてた。
ながいながい夜叉神ルートから歩くこと8時間
やっとの思いで辿り着いた鳳凰小屋
辿り着いたことのうれしさ、やっと荷物から解放されるうれしさ、もってきた荷物を喜んでもらえるうれしさ、それをみんなで食べる楽しさ
そんなことを楽しみに長い道を歩いてきた
小屋に着くと初見のスタッフさんたちが外で作業をしていた
スタッフさん「テントですか?」
僕「はい」
僕「Aさんいますか?」
スタッフさん「朝方、山おりましたよ」
嘘だろ…オイ…。
この食料と酒と思いを置き去りにして山下りやがったのかよ…
聞くと週末からスマホが壊れて誰とも連絡がつかなかったらしい。
どうりで連絡入れても返事がないと思ったぜ(電波通じないのかと思ったけど)
とりあえず、持ってきたものは全て小屋のみなさんにプレゼントしてテントを張って食事をとる
ここのテント場はほぼ無風なのでペグも数本刺して設営終了
そのまま2.3時間寝落ちして、そのあと12時過ぎからは寝袋にくるまっているだけで深い眠りにはいれなかった。脳が明日のことを気にして落ち着かない。いつも山ではそんな感じになる。AM5:30
陽が登ったその時間も、そこにある風景は見えなかった北岳を眼前に、視界いっぱいに広がるアルプスの稜線が一望できるこの場所も今日はなにひとつ見せてくれない
今回はとことん精神的に追い込んでくる振り返っては登り、振り返っては進む
そんな繰り返しの中で、空の青が一瞬見えた高嶺の頂上に立った瞬間だった
さっきまで何も見えなかった目の前に一面の青空が広がったのだ
強い風が吹き流れるこの場所はひとときももたぬほど雲が流れている
僕はしまっていたカメラをザックから取りだし、貴重なこの時間に必死でシャッターをきった10分もないその時間はあっという間に過ぎ、これから進む尾根や駒ヶ岳をのみ込むようにまた霞の中に消してしまった
そして
このガレた岩が続く道と交互に現れる
このハイマツ、ダケカンバ帯こそ、この道最大の『ツラい』ゾーンなのだ。
ここのどこに道があるかお分かりだろうか?
よく見ると一箇所だけ根が生えていない場所があるのだ
そこが道になる。
しかし写真では伝わらないかもしれないが、こいつらの背丈は176cmの僕を超える背丈があるのだ
たっぷりと朝露を纏った葉っぱで全身を濡らされ、足元まで伸びてきている枝が足を刺し出血する
かなり太い枝が足下を這っているので気をつけないと転倒も必須だいくつもの藪漕ぎを乗り越え、『白鳳峠』に着く
ここから広河原へ一直線に下降する
地形図上では短な距離に見えるが、等高線が狭い急坂なルートとなる
まだまだ気が抜けない。このルートはそういう道だ1時間くらい本気で歩いても薄暗い森を抜けれない
僕がいうのもなんだが、山やってない人が初めてきたら道が見えないと思う
なにより誰もいないこの森の中にひとりでいることの心細さが尋常じゃない荒廃した森を抜けるとかなりの急斜面にハシゴの連続だ
慎重すぎるくらい慎重に。
怪我したら終わる
それが山のルールだ滑るしか選択肢がない岩の上にしっかりと足場が打ち込まれている
鉄梯子も、鎖も、こういった足場も、人の気配というかそういうのを感じて安心するこのあたりから沢の音が聞こえる
広河原を抜ける野呂川の音なのか、小さな沢の流れなのか。
ゴールは近いななんて思うのは時期早々で、まだまだ下りはつづく休まることのない下り道だが、想像以上に足の裏は緊張の汗をかく
気がついた時にはウールの靴下は汗で濡れて靴の中でよれている
親指の皮は汗でふやけてズレ始めている感触だくだって、下って、くだったその先に鉄の柵とコンクリートの道が見える
ゴールとしてはとても寂しい場所
人気がないルートはいつもそんなところだ憔悴しきった顔
下山直後は必ず自撮り
どれくらい生気が抜けているのかセルフチェックするためだ林道を20分ほど歩き広河原へ
大樺沢の向こう、北岳は雲に隠れる
昨日ののぼりだしに見た白峰三山で元気をもらい、今日はガスに包まれる稜線で突如現れた北岳に勇気をもらった
ずっと晴れた稜線を歩くのも、小屋で楽しい酒を飲むのも楽しいけど、今回はずっと気を抜く環境じゃなかったからやりとおせたとも思う。
今日は出発前、小屋の前でこそ人に会ったが、それ以降誰ともすれ違わない。
平日。人気のないルートなんてそんなものだ。
誰も通らない、助けも来ない。だからこそ一歩に気をつける。
つまづいた先に何があるのか。足を滑らせたらどうなるのか。
『危ない』『こわい』
そんなふうに自分で思えているうちは、山登りを続けていこうかなと思っています。
*まだ今年は終わっていないが、今年も夏山でたくさんの山岳遭難がおきました。
小さな怪我から歩けなくなり救助される人、道迷いで助けを求める人、体力がなくなり疲労から救助を求めたり、岩場から滑落して骨を折る人、そのまま即死に至る人
助かったのは運が良かっただけ。プロのクライマーだって死ぬ時は死にます。
『山の生死はいつも自己責任』
怪我や死は別に山に限ったことじゃないですけどね。
みなさん。できるかぎり用心して生きていきましょうね。
おわり。広河原から駐車場までは林道バスで運んでもらう。
ながーーーい、ながーーーーーーーいブログを最後まで見ていただきありがとうございます。
あなたも立派な登山家です(笑)