Clover Beauty Blog
バーバーであるということ
たまには小話でいたしましょうか。
僕が理容業(バーバー)についたのが、かれこれ二十数年前。
90年代後半の事です。
世の中にはロン毛や無造作ヘアが流行。整髪料にはワックスが出始め、ヘアカットもナチュラルや自然と言った言葉をキーワードに、ピシッとしたバーバーらしいヘアスタイルが最も敬遠されたはじめた時代でした。
しかし専門学校では基礎の練習として、刈り上げ、七三分けの練習をし、もちろんサロンでも同じ練習をもっと厳しく、様々なお客様の頭に対応できるように、きっちりと体に叩き込みました。
ありがたいことに修行先のヘアサロンでは、老若問わずお客様がいらっしゃっており、基本のヘアスタイルから、それこそパンチパーマやアイパーといったアイロンを使った基本技術までしっかりと学ぶことができました。
ですが、お客様のヘアスタイルの割合は、それ以前より『刈上げ』を敬遠する声が圧倒的に多く、刈上げをしていた方々も「あんまり薄くしないで」、「家族に短くするのやめろって言われた」など、いろんな理由で刈上げをやめていく方が多かったです。
上部のヘアスタイルも寝かしたり、分けたり(7:3や真ん中分け)のスタイルも恥ずかしいからやめる。といった声が聞こえ前におろしてフンワリさせる、クチャクチャっとさせる。そんな時代でした。
そんな『ナチュラル』『無造作』が流行った時代でも、我々バーバーの仕事はなくなりませんでした。
それは何故か?
確たる技術がそこにあるからです。
どんなにヘアスタイルが変わろうと、まっすぐ刈る、まっすぐ切る、適切な場所をすく、その人に似合ったシルエットを作るという考えは変わらないからです。
(もちろん新しいカット技法や発想は取り入れていきますが)
短いヘアスタイルを追求してきたバーバーの人間は、頭を髪型を彫刻のように見ています。
作っているヘアスタイルが、求めているシルエットから外れていないか?
調整した毛量からできる毛束の表情はキレイに仕上がっているか?
だからいつも鏡を見て仕事しているのです。
もちろん、専門学校で習ったことだけでは、この仕事の入り口を知っただけでしかありません。
ご存知だと思いますが、『免許を持っている=なんでもできる』ではないのです。
真剣に考えて練習した、お客様をカットした。その分だけ上手くなります。
はじめにバーバーだから上手い的な書き方をしましたが、勘違いをしないで頂きたいのは、その技術に特化して研摩していればこそですからね。
基本的に、バーバーは男性のお客様が多いです。そこで様々なパターンを覚えることで身についていくということです。
一昔前は、男性が美容室に行くのは当たりまえではありませんでした。
そのため、メンズ慣れしていない方がカットするよりも、我々がカットした方が早いし上手いと思います。
逆に、女性のロングヘアなどの扱いには、それに慣れてらっしゃる方の方が早いし上手いと思います。
しかし、現在では美容師の資格を持っていても、メンズサロンとして男性だけのお客さんを受け入れてらっしゃるサロンも多数存在します。
理容師が女性に特化したヘアサロンで営業しているサロンも多数存在します。
このような方々も技術に特化していますので、希望のヘアスタイルが合えばすごくいいと思います。
また『昔話』という言葉を使ってしまうのですが、現在はひと昔、ふた昔前まえよりも様々なヘアスタイルに溢れています。
理容室で言えば、みんな角刈り、七三分け、坊ちゃん刈り、スポーツ刈り、新太郎カットや震災刈り、パンチパーマにアイパー
いくつもの時代の中で、どんどんと新しいヘアスタイルが生まれていきました。
そしていつの時代も、『最近の若い髪型は〜』と言われながら、敬遠と受け入れを繰り返します。
そして時代の流れと共に、ユーザーの変化、価値、技術者の進化を繰り返し、新旧の技術が合わさり時代にマッチしたヘアスタイルが生まれていくのです。
5、6年前に突然復活したツーブロック。
バーバースタイルの流れからか、ブームと言えるほどの流行でした。
そして、フェードと言われる薄い刈上げのぼかし。
こちらも、バーバースタイルの基本とも言える刈上げを、より強調したスタイル。
そして現在。
誰しもがツーブロック。という時代は終わっています。
そして、終わってよかったと思います。
『流行』は一過性です。
現れては消えていくものです。
しかし、その中にある『必要なもの』は必ず次の時代に残り、繋がっていきます。
デザインってそういうものだと思います。
今現在もツーブロックをされている方は、その『必要なもの』を知り、ご自身の中にとり入れられた方だと思います。
髪型に関わらずですが、『自分が好き』という気持ちだけは、ずれてはいけないと思うのです。
ツーブロックもフェードもとってもカッコいいです。
ロン毛もマッシュもカッコいいです。
どれもかっこいいです。
しかし、それは流行ってたからやりましたか?
あなたがやりたくてやりましたか?
そして自分自身でその髪型が好きですか?
あなたのライフスタイルに合っていますか?
でも、他人が似合ってないと言うかもしれません。
それでも好きでいれますか?
もちろん、時と共に自身の好みも変わってきます。
しかし、現在やっているそのスタイルは、あなたが好きではじめたスタイルなので自信をもって貫いて欲しい。そう思っています。
流行りのものを着るように、流行りの髪型をする。
すごくいいことだと思います。
その後に、それが自分のものになるのかどうなのか?です。
人にはシルエットがあります。
髪型しかり、ボディライン然り。
それにハマってさえいればカッコいいですし、違和感は生まれません。
そして、そこに一工夫凝らしたディティールが施されていると、お洒落に変わり、その人のものに進化していくのだと感じております。
そして、そのルールから少しハミ出したもの(意図的に強調したもの)こそ、センスであり、新しいモノの表現だと思うのです。
誰もやっていない髪型をする。
ということではないんです。
髪が立つから、立たないようにカットしている。
クセが目立たないようにカットしている
クセを活かすようにカットしている。
毎朝セットが楽なようにカットしている。
毎朝大変だけど、このセットがしたいから伸ばしてる。
なんでもいいんです。
理由は人それぞれです。
あなたに似合ったフォルムにすること。
あなたがその髪型をすることの、実用上のメリット、デメリットの説明。
これらは僕たちに任せていただければと思います。
もちろんヘアスタイルの提案も。
スタイルが出来上がったらば、もう『あなたのもの』です。
是非とも『好き』になってあげてください。
最後に、クローバーはリラクゼーションヘアサロンです。
雑誌に出てるような西洋のオールドバーバーのようなサロンづくりはしていません。
明るめの店内、ゆったりとしていただける環境、リラックスしていただけるメニュー構成を心がけており、皆様にゆっくりとさっぱりとしていただきたい。
それが一番の想いです。
ツイストやドレッドなどの超ハード系パーマスタイルは、時間の関係上受け付けておりませんが、基本どんなヘアスタイルもこなします。
本当に長々と、ダラダラと書きましたので、誤字脱字があると思います。
失礼いたします。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
2020-9-25