Clover Beauty Blog
『輪廻』
くるくる くるくる
くるくる くるくる
君はまわるために生まれてきた
くるくる くるくる
くるくる くるくる
ウチにきてからずっとまわってる
「そんなにまわって気持ち悪くないの?」
「吐くほど気持ち悪いよ」
くるくる くるくる
くるくる くるくる
君が回りだして 一年、二年。
まだまだ回って 五年、六年。
「君はいくつになったんだい?」
「今年で1年生でっふ!オェー!」
回りつづけた君が 調子が悪くなったのは
その頃だっただろうか?
君は空回りするようになった
あの時、はじめてお医者さんを呼んだね
君は回転しすぎて骨が削れまともに回れない体になっていたんだ
「この仕事をする以上、もうながくはないかもしれません。」
「先生!この子は!この子はどうなるんですか!」
「いつまでがんばれるとはお伝えできませんが、できるだけの事はやりましょう」
そういって新しいボルトで芯を支えてくれた
「大丈夫かな」
そんな事を心配しながらも 君はまた回りだした
くるくる くるくる
くるくる くるくる
今日もくるくる
明日もくるくる
あの手術から一年、二年。
君は奇跡のような復活を遂げた
「もっと回りたいよ!ねえ!もっともっと回りたいよ!」
元気になった君の姿がうれしかった
穏やかで平凡に年月が経った
平凡だったが、それが嫌だったわけじゃない
むしろ平凡で生きていてくれる事に感謝していた
今年は君が生まれて15年
君が回っているのが当たり前になっていた
そんな君が、突然、反抗期を迎えた
回ってる最中に勝手に止まったり、回ると見せかけて直ぐ止まったり、水すら出さなくなった
こんな聞かん坊に育てた思いはない!
何度も何度もピッピピッピ
何度も何度も抜き挿し抜き挿し
時には手をあげてしまうこともあった
ビシビシビシッ!
「お前も痛いかもしれない!しかし、俺の心も痛い!」
最後は心と心。体と体のぶつけ合いだった。
回らないおまえ
回したいおれ
水も出さないおまえ
水を汲むおれ
一進一退の攻防が続いた
そして一週間後
君は、止まった。
一週間前、君のあとを継ぐ者を選んできた
この一週が最後って分かってたんだね。
分からず屋になったのも、最後に語り合いたかったんだね。かまって欲しかったんだね。
「ごめんね。ありがとう」
今日、君の命は終わる。
しかし廻りまわって、また新しい命にかわる
君が回り続けたように…
追伸
キミを継ぐ者がウチにきた
それは令和生まれのスタイリッシュなヤツだった
アイツの分まで頑張ってくれよ!
伝説がまた動き出す!
2019-8-15