2022-7-19
- Mt.Fuji 3776 /SEA TO SUMMIT
2022年7月12日
AM2:20
僕は富士山の頂にたった
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今年最後の自分自身への約束を果たすために、静岡県の新富士駅に来た。『富士登山3776 /SEA TO SUMMIT』
海から頂上まで、日本一の道のり
『田子の浦みなと公園』、今回の旅はここからはじまる
目的地に向かう道中、すでに小雨が降ってきた。この時期の天気は読めない。ガッカリと恐怖で胸が張り裂けそうだ
スタート前にやることがあるのだあれ?
ないぞ?
滲みでてもいない!
しかしテトラポットが巨大すぎて越えるだけで大怪我しそうな高さだ。舐めたことに雨が降ってきた
小雨ならそのままでと思ったがガチで降ってきた
傘をさして歩く今回のミッション。
一週間の仕事を終え、その足で来ている。無論、仮眠などもとっていない、究極の疲労状態での挑戦になるなぜこんな事になったのか。真夏のトレーニングを数回行う中で、暑さは危険だという事を身をもってわかった。
総距離42kmは富士登山といいつつも27kmはロードなのだ。この長いロードを日中歩き抜くのはダメージが計り知れないのと、できる限り早い時間帯に上の方まで上がっておきたいという計画があったからだ。
長距離を歩ききるというのは、それを全うする為の作戦、計画を綿密にねってはいる。
本当はしっかりと身体を休めて挑みたかった。『山は逃げない』とは言うけれど、時間はどんどん過ぎて行く。富士登山が正式に認められているのは7-9月の上旬まで。気候、仕事、日常生活を調整してみてもそう幾度もチャンスは無いものなのだ。
天気予報で土砂降りの予報はない。この薄い雲が去ればきっと朝は晴れる
そう信じて歩みを進めるしかないのだ
それでいいのだ!ここはキャンプ場。情報によるとここで休憩とかしているブログを見たことがあったが、辺りを散策しても人がいない。建物も開いてない…
これは…
これは…
とんでもなくやばい事になった…ここに自販機があるという予定で、スタートから水分を1Lしか持ってきていなかったのだ。
これはマジにヤベーー。
このロード歩きで節約しながら補給してきたが、アクエリアスが500mlあるかないかくらいの残量しかない
やべーけど、結局は前に進むしか道はねぇ。考えるな!感じろ!もっとタイムを巻いていけると思っていたが、富士山に記載のコースタイムは非常にスパルタ的だった
ここまで30km近く歩いているからか、はなから遅いのかコースタイムを越えられない現実を突きつけられ、さらに90分の登りと直面する
そして水分も250mlあるかどうか
本当は食事をとりたいが、水分を必要としてしまうため怖くて取れない…
このシャリバテ状態ではきっと2時間かかる気がする
マジでヤベーっす…水分はもう少ししかない。口に少し入れて、それをしばらく口に入れて潤わすようにして乾きを紛らわした。
なげーーーー。
この砂利砂利の道、マジでなげーー!
一歩が滑る
久しぶりに死にたくなってきたマッチうめぇーーー!
ギンギラギンにうめぇーーーー!
人生で初めてマッチいっき飲みした
カラダにピースだぜ「スタンプありますか〜?」
「お兄ちゃん、海から来たの。すごいね、暑いね、疲れたねー」
マシンガンのごとく女将さんは喋りかけてくるてっててーーーーーーー!
最後のスタンプ完成です‼️
あとは頂上の写真を撮るだけでオッケー👌う〜〜ん…
小屋で休もう!
小屋のおばちゃんに「今日泊まって行っていいですか〜」
「いいよ、いいよ。泊まってきな」と
素泊まり 6000円
すぐに寝るので晩御飯もいりません
いつ出るかもわからないので、朝ごはんもいりません部屋の写真撮り忘れたけど、混雑時は6人で寝る部屋を一人で使わせてもらった
すごい快適に寝れた14時から18時くらいまで仮眠して、店の方に降りて行く
「何時ごろ出てくんだい?」
「もう出ようかな〜」
「今から行ったって、上は小屋やってないからやめとけ!」っていうので、体拭いたり、ザックの整理したりゴロゴロとストレッチしたり、ネット見てたり、なんか寝ちゃったりしながら、21:00ごろになった。
やっぱり3000mを超えると空気が薄いのを感じる
しっかり空気を深くまで吸って、呼吸をおちつかせる
一歩、また一歩
ただそれを繰り返す
なんでもない時間かもしれないが、僕にとって一番自分と向き合える時間
照らす太陽に苦しめられることもない夜の時間
人の声も聞こえない、たったひとりの山の時間
風の音、土を踏む足音、自分自身の呼吸音
なぜ僕はこの山に登るのかとか。みんなは何を求めて登のかとか。その先に何を見るのかとか。
そんなことを考えながら少しずつ頂上を目指すあと20分かよ…
先に書いとけよ…
そんなにメンタルできてねーんだよ…ぬおぉぉぉぉぉ!
ウソだろ…
オイ……オレ…頂上にいるよ
てっぺんなんだろ!
3776っていってくれよ!
なぁ!
これじゃぁ、おまえさん
「3772? そんな山ありましたっけね?」とか言われちゃうじゃんかよ!そんなことはさせねぇ!
GPSの修正をして確実に『3776』をおさめてやるやったぞーーーー!
合計行動時間 15時間30分
そうだ!まだ大切な儀式があったのだ
この海から持ってきた砂利を!
少しだけ山頂に撒く!
これにて富士登山SEA TO SUMMIT のミッションは完了いたした!
では下山いたす。
夜が明ける前に、僕は早々と山頂から下った。8合目あたりで、東の空が色づきはじめた。
たくさんの人が登っている山だから、その数だけ色んな思いがあると思う
僕もその一人なわけで、自分の思いを持って登ってきた。
いままで富士山が見える山にはたくさん登ってきたけど、その富士山には登らなかった。
僕が日本一の山に登るのは違うんじゃないかと思っているからだ。
それでも今年、この頂上に立とうと思ったのは、この先の人生で僕だってやれるんだって、時間はかかっても頑張れば同じ場所には立てるんだって自分自身に証明したかったからだ。
月明かりも消えたこの時間に来た事、夜明けを迎えずに下山することには意味がある。
自分の可能性を試すのに富士山の肩を借りたが、日の出をこの場所で迎えることは出来なかった。
恥ずかしい生き方はしていないけど、1番高いところで陽を迎えるほどの生き方もしていない。もっと努力している人がいる、それでも報われない現実もある。
いまの自分には、他の山で拝む朝日だけで充分ありがたい。
何十年先か、「よく頑張ったなぁ」と思えることがあれば、ここで日の出を迎えたいと思う。
40歳
折り返しといえばそうだし、もっと長いかもしれないし、短いかもしれない。
人様にどうこうと褒められなくても、自分を誇れる生き方だけは続けて生きたいなと思う次第です。
おわり
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おまけ七合目付近までおりてきたら、霧雨だった天気が本降りになってきた
流石にレインウェア着ないとヤバいレベルだ宝永山荘まで降りてきて、濡れたウェアを脱ぐ。
ザックの中はすべて防水しといてよかった雨と雨の間を歩き抜いた二日間
なんやかんや終わりよく、心地いい帰り道
さっきまでいた山は姿を見せぬままのお別れ
いつかまた会いましょうね。____________
【総評】
今回の富士登山にあたってのトレーニング、タイムスケジュール、装備等に関しての評価。
1、トレーニング
1月から続けてきた少しずつ距離を延ばしてきたトレーニングは『歩く」という基礎と、疲れや飽きというものから『やりとげる』という気力、背水の心を強く養えたと思う。
6月中の猛暑に行った、長時間のロード歩き、高尾山歩きでは、夏の暑さの危険度を知ることと、上りを駆け上がれる気持ちをつけることができた2、タイムスケジュール
当初の予定とは少しずれた為、これは少し反省点があるが結果的にこれがベストだったなと納得している。
暑いロード歩きを避ける為、仮眠もせずにスタートしたこと。
これは間違いなく正解の方法だとおもう。欲をいうなればAM12:00〜12:30にスタートできていれば、当初の予定をクリアできていたかもしれない。
当初の予定というのは、PM2:00ー3:00には登頂して、最終のバスで下山するというプランであった。
今回、13時ごろに6合目に着いて、そこから頂上まで4時間と考え諦めたが、終わってみればその選択も正解であったと思う。
小屋の方に良くしていただいたこと、部屋を広々使えてゆっくりできたこと、食事、睡眠など体力を復活させて気持ちよく登頂できたこと、誰も登っていない暗闇の中をひとり歩けたこと、陽射しに攻められずに低い気温の中で歩けたこと、下山時の最後の最後で雨にしっかりやられたが、それ以外はほぼ濡れずにやりとおせたこと。下山後にも雨の中ゆっくりとバス時間まで滞在させてくれたことなど考えると、充分な恩恵を宝永山荘の方にはいただいた。メンタル、フィジカル、思い出としてもだ。
3、装備
これも今までの経験をもとに無駄なものは削ぎ落とせたと思う。
無駄な防寒、着替えは持たず、小屋に泊まっても、そのまま下山しても臨機応変に対応できるよう最低限の荷物で行けたと思う。
唯一無駄だったと思うのが、GOPROを持って行ったが結局ほとんどが暗闇の中の行動だった為、撮影しなかったからだ。
そして無駄ではなく足りなかった点でいちばん悔いているのが『水分』だ。
最後のコンビニという場所も知っていたが、何かの冊子なりブログなりで第3チェックポイントに自販機があると信じきっていたことが最大の誤算であった
あれがなければ水分不足で憂うこともなく、先の駐車場まで買いに行こうかどうかという迷いすらも生じなかったはずだ。
水がなくなるんじゃないかという精神的不安は中々のものだった。(一度他の山で水分が枯渇した中で4時間くらい歩き、後の二週間ほど口の中の粘膜が真っ白になるということがあった)
水分がない為、食事も取りづらくなった。水分と食事。これは運動においてとても重要な要素を兼ねている為、もっと正確に把握しておくことが不可欠であった。
富士登山を確実に成功させる為に、3回ほどトレーニングでストックをつかった歩行の練習をしてきたが、これもものすごく役に立った。
色々と書いたが、結果的にはとても満足のいく登山ができてたと思う。これだけの文章を書いたブログは久しぶりだったが、こんな個人の戯れブログを最後まで見ていただき本当にありがとうございます。
皆様にも刺激的な何かが訪れることを願っております。横塚 つとむ
追記
2022/07/26確実に例のブツだな
海抜ゼロから、富士山頂に登った証明書
中々嬉しいもんです
同封の説明書きに、ピンバッチは積極的につけていただき広めてください。とのことだった
富士市観光課のみなさん!しっかりブログにしてますんで安心してください。