Clover Beauty Blog
木幡、寝坊したってよ…
その日は朝から雨が降っていて、水をきるタイヤの音ばかりが聞こえてる。
こんな日はいつもと同じ時間に出てちゃ間に合わないから、僕は10分ほど早く家を出た。
思った以上に道路は渋滞し、店に着いたのは8時15分だった。
いつもはみんな8時前に入っているが、この日は店長しかいなかった。
いそいそと開店準備をしていても木幡の姿が見えない。
「コワチからなんか連絡あった?」
尾崎に聞くと、「ないよ」という。
遅刻リミットの30分近くなっても連絡ひとつない。
あいつ、死んでるかもしれない…
直感で僕はすぐ携帯を鳴らした!
とらない!
LINEにメッセージも入れた!
既読にならない!
何回も10分近く、コールしつづけたが繋がることはなかった…
この時点で僕は死亡フラグをたてた。
家に行くしかない!
しかし、木幡が引っ越したマンションは知っているが部屋番号を知らない。
これでは違う部屋に入ってしまう!
そうだ。実家に電話するしかない!だめだ履歴書を開かないと実家の番号がわからない!
そうだネットで検索すればいいんだ!
『大和田 理容室』と。…
違う店しか出てこない!そして正式な店の名前がわからない!なぜ木幡理容じゃないんだ‼️
そうだ!店の隣が焼き鳥屋だって言ってたな!確か『鳥秀』だった気がする。
『大和田 鳥秀』と。ヒットした!しかし隣の理容室は出てこない。あの世界のグーグルに出てこないなんてことがあるのか⁉️
そうだ!ストリートビューで看板を探すんだ!焼き鳥屋からスライドして床屋の看板を探す。
あったぞ!『おしゃれ床屋 せきね』が。誰なんだよ…
よし、『おしゃれ床屋せきね』で検索っと… 出てこない……。
どんだけシークレットなんだよ!
このご時世にこんなけ出てこない店があることの方がすげーわ!
そうこうしている間に、家に電話して履歴書を確認してもらい実家の番号を入手した。
尾崎が電話をかける。こちらは諦めずに木幡に電話をかける!
プルルルル…プルルルル…ガチチャガチャ?繋がった? ツーツー?切れた?
あいつ、まさか最後の力を振り絞って電話をとったんっじゃ‼️
再度電話を鳴らす!
「もしもし」
「大丈夫か!どうした!」
「今から行きます…すいません」
こいつ。完全に寝てたな……
そのあと、両親にも寝坊だと言うことを伝えた。
朝から予約が満席だったため、何名かのお客様には後に時間をずらしていただいたりもした。ご迷惑をおかけしました。ありがとうございました。
鬼のように忙しい30分だった。今回は寝坊で済んだが、ホントに死んでいるという可能性はゼロにはならない。そんな時対処できるのは仕事の仲間しかいないのだ。心肺停止から脳に障害が残るまでは時間が勝負、早ければ早いほどいい。
クローバーはこの状況に陥った時、無駄な時間を使い、すぐにSOSコールをかけられなかった。
同じ轍は踏まないために、全てのスタッフの緊急連絡先、住所を控え、これからの万が一に備えた。
ありがとう木幡よ。強烈な遅刻をしてくれて…
2021-7-15